企業研修でのeラーニング活用事例まとめ|成功の秘訣を紹介

この記事でわかること
- eラーニングは標準化・効率化、コスト削減、多様な働き方への対応で企業研修の新標準となっている。
- 新人研修統一、管理職研修効率化、コンプライアンス徹底、グローバル教育など多様な導入事例が成果を上げている。
- 成功の鍵は目的明確化、小規模導入、教材・システム整備、受講率向上策、サポート体制の5点に集約される。
人材育成の重要性がますます高まる現代のビジネス環境において、多くの企業が研修プログラムにeラーニングを積極的に取り入れています。リモートワークの普及や教育コストの削減ニーズが加速する中、eラーニングはもはや限定的なツールではなく、企業研修の新しいスタンダードとして定着しつつあります。
しかし、いざ導入しようとすると、
「他社はどのようにeラーニングを活用しているのか?」
「成功している企業にはどのような共通点があるのか?」
といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、企業研修におけるeラーニング活用の代表的な事例と、導入を成功させるための秘訣をわかりやすく紹介します。本記事を読むと、読者の皆様が自社に適した戦略を立案するためのヒントを得られるでしょう。
1. 企業研修でeラーニングが注目される理由3点
まずは、なぜeラーニングが企業研修で急速に広がっているのかを整理しておきましょう。
eラーニングは企業研修の効率化と質向上を実現する強力なツールであり、急速に普及しています。従来の集合研修では、場所や時間の制約が教育の障壁となりやすく、コストも膨大になりがちでした。
企業研修でeラーニングが注目されている理由には、以下の3点があります。
- 教育の標準化と効率化ができる
- コスト削減につながる
- 働き方の多様化に対応できる
eラーニングはデジタル技術を活用することで、時間や場所といった課題を根本的に解決するでしょう。ひとつずつ詳しく解説します。
① 教育の標準化と効率化ができる
eラーニングにより全国規模で研修内容を統一し、効率的な人材を育成できるようになります。
従来の集合研修では、講師の経験や会場環境によって講義の質が変動しやすく、拠点間の格差が生じやすい問題がありました。eラーニングでは、動画やテストをインターネット上で配信するため、一度作成した教材を何度でも再利用できます。これにより全拠点での研修内容の標準化を図れるだけでなく、研修の準備時間が短縮され、管理者の負担も軽減されます。
教育の標準化と効率化は、企業全体の質的向上を保証する基盤であり、eラーニングを導入する最大の強みです。
② コスト削減につながる
eラーニングは長期的に見て研修コストを大幅に削減します。
従来の集合研修では会場費、講師派遣費、移動交通費、印刷費などが積み重なり、1回の研修で多くのコストがかかりました。一方、eラーニングは教材を一度作成すれば繰り返し利用できます。また、オンライン配信により物理的なコストも削減可能です。
eラーニングによるコスト削減は、企業の財務健全化に直結します。
③ 働き方の多様化に対応できる
eラーニングは多様な働き方に柔軟に対応し、社員の学習機会を増やします。
テレワークやフレックスタイム制の増加で、固定時間の集合研修は年々難しくなるでしょう。eラーニングならいつでもどこでもアクセス可能で、個人のペースに合わせた学習が可能です。
eラーニング導入に代表される多様な働き方は、現代のビジネスパーソンが企業に求める条件のひとつです。
2. 企業研修におけるeラーニング活用の代表的な事例4選
ここでは、実際に多くの企業で行われているeラーニング活用の代表的な事例を4つ紹介します。
- 新入社員研修を全国で統一
- 管理職研修の効率化
- コンプライアンス教育の徹底
- グローバル人材教育
それぞれの事例から、導入の狙いや成果のイメージをつかみましょう。
事例①:新入社員研修を全国で統一(製造業A社)
製造業A社では、eラーニング導入により新入社員研修の標準化とコスト削減を実現しました。
従来は各拠点でそれぞれ研修を実施していたため、講師の移動や研修資料の準備に膨大なコストと時間を費やしていました。
そこでeラーニングを導入し、会社概要、コンプライアンス、安全教育といった基本研修のオンライン教材化に踏み切ります。
全拠点で同一の教材を使えるようにすることで研修内容のばらつきをなくし、コストは年間で30%削減、研修準備期間も半減。さらに進捗データを本社で一元管理できるようになり、各拠点の研修進行をリアルタイムで把握できるようになりました。
事例②:管理職研修の効率化(IT企業B社)
IT企業B社では、ハイブリッド型eラーニングで管理職研修の実施スピードと受講率を向上させました。
B社は全国各地に営業所があるため、管理職研修を一斉に行うとなるとスケジュールの問題が発生します。実際に、研修実施までに数か月かかる場合もあったそうです。
そこで基礎講座をeラーニング化し、各自が空き時間に受講できる形式に変更しました。その上で、ケーススタディやディスカッションといった研修の後半部分はオンライン会議ツールを活用して行う「ハイブリッド型研修」を導入。
その結果、研修実施までのリードタイムを大幅に短縮し、受講率は従来の1.5倍に増加。スケジュール調整の負担も軽減され、教育担当者の工数削減にもつながりました。
事例③:コンプライアンス教育の徹底(金融業C社)
金融業C社は、eラーニングでコンプライアンス研修の受講率を100%近くまで引き上げています。
C社では、年に1回すべての社員を集合させてコンプライアンス研修を実施していましたが、業務都合で参加できない社員も多く、受講漏れが発生していました。
そこでeラーニングによって全社員が自分のペースで受講できる仕組みに変更し、受講期限を設けて自動リマインドを送る運用を採用しました。すると期限内の受講率はほぼ100%となり、受講漏れゼロの目標を達成。さらに、受講データの蓄積により、監査対応も迅速に行えるようになりました。
事例④:グローバル人材教育(メーカーD社)
メーカーD社は、eラーニングでグローバル研修のコストを抑え、国際的なスキル向上を実現しました。
海外拠点を多く持つD社では、グローバル人材育成の一環として英語・異文化理解の研修を実施しています。従来は海外講師を日本に呼んでいましたが、コストが非常に高くなっていました。
eラーニング導入によって英語教材や異文化講座をオンラインで配信し、世界中の拠点から同じ研修を受講できる体制を構築。言語別の教材を用意することで受講しやすさも向上し、社員からの満足度も高い結果が得られました。
3. 企業研修でeラーニングを成功させるための5つの秘訣

上記4つの事例を見て、「よし、我が社でも導入してみよう」と思った方も、「我が社ではそううまくいくだろうか」と感じた方もいることでしょう。実は上記の事例には、共通して見られる成功のポイントがあったのです。
- 目的を明確にする
- 小さく始めて拡大する
- 教材とシステムの両面を整える
- 受講率を高める仕組みを作る
- サポート体制を整える
eラーニング導入を実施する前に、以上の5点を整理しましょう。
① 目的を明確にする
eラーニングは手段であって目的ではありません。まず「なぜeラーニングを導入するのか」をはっきりさせることが重要です。
コスト削減なのか、受講率向上なのか、教育の標準化なのか、目的によって最適な仕組みや運用方法は異なります。
たとえば上記A社のように効率化が目的であれば、教材のオンライン化に集中すればよいとわかります。
eラーニング導入の目的を明確にし、注力すべき点を絞りましょう。
② 小さく始めて拡大する
段階的な導入が、安定した運用には不可欠です。
最初から全社的に一気に導入すると、運用が追いつかずに混乱を引き起こすケースがあります。
まずは一部の研修や部署から導入し、運用ノウハウを蓄積しながら段階的に拡大させましょう。
小規模なスタートはリスク回避にもつながります。
③ 教材とシステムの両面を整える
使いやすい教材とシステムを用意し、社員への定着を図りましょう。
教材がわかりにくいと、受講者のモチベーションは下がってしまいます。また、操作しにくいシステムも学習の妨げとなります。
受講者目線に立ち、教材のわかりやすさとシステムの使いやすさを両立させることが大切です。
④ 受講率を高める仕組みを作る
eラーニングには受講率を高めるためのツールがあります。積極的に活用しましょう。
社員たちは通常業務で忙しく、やるべきeラーニングがあるか、どこまで学習したかを把握できないかもしれません。
自動リマインドメールや進捗管理、受講完了証の発行機能などを活用し、受講者が自発的に学習を進められる環境を作ることが重要です。
これらの仕組みを活用することで、社員のモチベーションを維持できます。
⑤ サポート体制を整える
サポート体制を整えておくことが、導入初期の安定化を支えます。
初期導入時は管理者も受講者も操作や設定に不慣れなため、マニュアル整備やFAQ、問い合わせ対応体制を準備しておくと安心です。
eラーニングを長期的に運用できるよう、いざというときのサポート体制整備は必要な投資です。
4. まとめ
企業研修におけるeラーニングの活用は、教育の効率化・コスト削減・受講率向上・グローバル対応など、さまざまな面で大きな効果を発揮します。
- 全国拠点での研修統一
- 管理職研修の効率化
- コンプライアンス研修の徹底
- グローバル人材教育の促進
といった事例に見られるように、導入の狙いや運用方法は企業ごとに異なりますが、共通しているのは「目的の明確化」と「段階的な運用」です。
eラーニングを効果的に活用し、人材育成を強化しましょう。
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eラーニングは単なる便利ツールではなく、企業の人材育成を支える重要な仕組みです。
他社事例を参考にしながら、自社の課題や目的に合わせた形でうまく活用していきましょう。