注目のハイブリッド教育（対面＋オンライン）とは？メリットと実践方法

近年、教育現場や企業研修の分野で注目されているのが「ハイブリッド教育」です。

これは、従来の対面型教育とオンライン学習を組み合わせることで、双方のメリットを活かした新しい教育スタイルです。

新型コロナウイルスの流行をきっかけにオンライン学習が急速に普及しましたが、完全オンラインではカバーしきれない課題もありました。

そこで、多くの教育機関や企業が「ハイブリッド型」を採用し始めています。本記事では、ハイブリッド教育の基本からメリット、実践方法までをわかりやすく解説します。

1.ハイブリッド教育とは？

ハイブリッド教育とは、「対面授業（オフライン）」と「オンライン授業（eラーニング）」を組み合わせた教育手法です。別名「ブレンド型学習（Blended Learning）」とも呼ばれ、欧米では広く普及している教育スタイルです。

たとえば、以下のような組み合わせが考えられます。

• 導入部分や座学はオンラインで事前に学習
• 実習やディスカッションは対面で実施
• 研修後のフォローアップをオンラインで実施

一方を補完する形で両者をうまく活用するのが、ハイブリッド教育の特徴です。完全対面でも完全オンラインでもない、「第三の選択肢」として多くの組織で導入が進んでいます。

2.ハイブリッド教育が注目される背景

2.1.さまざまな働き方やライフスタイルに対応できる

リモートワーク、時短勤務、シフト制など、働き方が多様化する中、全員が同じ時間・場所に集まる研修は難しくなっています。オンラインを組み合わせることで、遠方の社員や育児・介護中の受講者でも学習機会を確保しやすくなるでしょう。

2.2.オンラインだけではカバーしきれない部分を補える

チームビルディングや対人スキルの習得、実機を使った演習などは対面での実施が効果的です。オンライン学習は便利ですが、受講者同士の交流や実践的なワークには限界があります。

2.3.教育の質と効率を両立できる

オンラインで知識を効率的にインプットし、対面でアウトプットや応用を行えば、研修全体の効果を高められます。これは「反転学習（Flipped Classroom）」にも通じる考え方です。

3.ハイブリッド教育のメリット

3.1.自分のペースで、いつでもどこでも学べる

オンライン教材があれば、受講者が自分のペースで事前学習や復習ができます。

通勤時間や休憩時間を活用した学習も可能で、公私共に忙しくても無理なく学習を進められます。録画教材なら繰り返し視聴できるため、理解が不十分な箇所を何度でも学び直せるのもメリットです。

3.2.教育コストの削減

座学部分をオンライン化すれば、会場費・交通費・宿泊費・印刷費などを大幅に削減できます。対面は本当に必要な場面に絞ることで、コストパフォーマンスの高い教育が実現するでしょう。

たとえば、全国に拠点がある企業が毎月1回の全社研修を実施している場合、往復交通費・宿泊費だけでも年間で相当な金額になるはずです。

3.3.学習効果が高まりやすい

オンラインで事前に知識をインプットし、対面では議論や実践に時間を割くようにカリキュラムを組めば、アクティブラーニングが促進されて、学習効果のアップが期待できます。

受講者同士のディスカッションもより深い内容になり、実践的なスキルの習得につながりやすくなるでしょう。

3.4.受講者同士の交流も維持できる

完全オンラインでは難しい受講者間のコミュニケーションも、対面パートでしっかり確保できます。

たとえば、新入社員研修で採用すれば、1番近しい存在の同期との関係構築もしやすくなり、今後の大きな支えになるでしょう。ハイブリッド型なら、オンラインで効率的に知識を学びつつ対面で人間関係構築に寄与できます。

4.実践！ハイブリッド教育の導入ステップ

ハイブリッド教育をうまく導入するには、段階的な設計が重要です。以下のステップを参考にしてみましょう。

4.1.ステップ1：導入目的と受講対象者を明確にする

なぜハイブリッド教育を導入するのか、対象者は誰なのかを明確にしましょう。目的や対象によって、オンラインと対面の配分が変わります。

たとえば、新入社員研修なら対面の割合を多めにして関係構築を重視し、管理職向けのスキルアップ研修ならオンラインを中心に効率化を図るなど、受講対象者に応じた設計が重要です。

4.2.ステップ2：オンラインと対面の役割を分ける

「オンラインで学ぶ内容」と「対面で行う内容」をしっかり整理して学習カリキュラムを組みましょう。

オンラインに適した内容	対面に適した内容
事前学習（知識のインプット）	グループディスカッション
テスト	ロールプレイング
復習等動画	チームビルディング
アンケートの収集	実機演習

4.3.ステップ3：LMSなどのシステムを活用する

オンライン学習部分は、LMS（学習管理システム）を活用すると便利です。教材配信・進捗管理・テスト・受講履歴の把握などを一元化できます。

LMSがあれば、誰がどこまで事前学習を終えているか一目で把握でき、対面研修の準備がスムーズになります。また、受講者側も自分の進捗状況や成績を確認できるため、モチベーション維持にもつながります。無料トライアルを活用して使用感を確認し、操作しやすいシステムを選びましょう。

4.4.ステップ4：教材・運用体制を整える

教材は、オンライン教材と対面研修用の両方を準備しましょう。ポイントは、事前学習用の動画や資料は1本10〜15分程度に区切り、かつわかりやすさを重視することです。

運用体制は、事前学習の進捗状況を確認し、理解が浅い部分を対面で重点的にフォローする体制を作ると効果的です。対面パートの講師に事前にオンライン教材の内容や習熟度を共有し、受講者の理解度を把握してもらいましょう。また、LMS提供者のサポート体制が整っているシステムを選べば、運用中のトラブルにも迅速に対応できます。

4.5.ステップ5：受講者への事前案内とフォローを行う

「いつまでにオンライン教材を終わらせるか」「対面研修の日程と場所」など、必ず事前に、受講の流れを案内しましょう。また、受講後のフォローアップをオンラインですると、学習内容の定着が高まります。

5.ハイブリッド教育の具体的な活用パターン

実際にハイブリッド教育はどのように活用されているのでしょうか。代表的な活用パターンをご紹介します。

研修の種類	オンラインで学ぶ内容	対面で学ぶ内容
新入社員研修	・会社の基本情報 ・ビジネスマナー ・業務の基礎知識	・グループワーク ・ロールプレイング ・同期との関係構築
営業スキル研修	・商品知識 ・営業理論 ・基本的な営業トーク	・ロールプレイング ・商談シミュレーション ・実践的なフィードバック
技術研修	・基本的な理論 ・操作方法の説明動画 ・安全に関する知識	・実機を使った演習 ・トラブルシューティング ・複雑な操作の実践

知識のインプットはオンライン、実践やコミュニケーションは対面と役割を分けることで、短期間で効果的にスキルアップできます。

6.ハイブリッド教育導入の注意点

6.1.対面とオンラインのバランスを誤ると効果が半減する

オンラインに偏りすぎると、受講者同士の交流が生まれず孤独感が増し、モチベーションが下がります。また、実践的なスキルが身につかず「結局変わらない」と不満が出かねません。逆に対面に偏りすぎると、コスト削減効果が得られず、柔軟な受講環境も提供できません。「わざわざハイブリッドにした意味がない」という結果になってしまいます。

導入前に研修の目的を明確にし、「知識はオンライン、実践は対面」という基本原則に沿って設計しましょう。

6.2.教材や運営体制の準備が不十分だと混乱を招く

オンライン教材の質が低いと、受講者は「理解できない」「時間の無駄」と感じ、学習意欲が大きく下がります。音声が聞き取りにくい、スライドが見づらい、説明がわかりにくいといった問題は致命的です。また、事前学習の期限管理や進捗確認の体制が曖昧だと、対面研修当日に「誰も事前学習を終えていない」という事態になりかねません。

必ずテスト視聴を行い、わかりやすく、かつ快適に受講できるか確認してください。また、LMSで進捗を可視化し、未完了者には早めにリマインドする仕組みを作りましょう。

6.3.ITに不慣れな受講者へのサポート体制を整える

「ログインできない」「動画が再生されない」といったトラブルが多発すると、受講者のストレスが溜まり研修への集中力が削がれます。年齢や職種によってITリテラシーには大きな差があり、若手社員は問題なく操作できても、ベテラン社員が取り残されるケースは少なくありません。

初めてオンラインを利用する受講者も想定し、マニュアルやFAQを整備し、問い合わせ窓口も設置しましょう。また、事前アンケートでITスキルを把握し、必要に応じて個別サポートを提供することも効果的です。「誰一人取り残さない」という姿勢が、ハイブリッド教育成功の鍵です。

まとめ

ハイブリッド教育は、対面とオンラインそれぞれの強みを活かした、現代の多様な学び方に対応できる教育手法です。

• 対面とオンラインの組み合わせで柔軟な学習環境を提供できる
• コストを抑えながら学習効果を高められる
• 学習の効率化と受講者満足度の向上を両立できる
• 働き方の多様化に対応し、より多くの人に学習機会を提供できる

導入の際は、目的や対象に合わせて両者の役割を明確にし、段階的に進めていくことが成功のカギです。最初から完璧を目指すのではなく、小規模なグループでテスト実施を行い、フィードバックを集めながら改善していくアプローチがおすすめです。

企業研修や学校教育において、ハイブリッド型は今後ますます主流となっていくでしょう。この機会に、ぜひ自社・自校の教育にハイブリッド教育を取り入れてみてください。

当社のmanabi+ schoolは、LMS（問題登録、動画配信、課金システム等）やフロントサイト、レイアウトを自由に設定できるFSE（Flex Site Engine）を持ったサービスです。eラーニングを始めたい場合は、ぜひ当社にご相談ください。