研修をオンライン化するには?導入のステップと必要な準備をわかりやすく解説

この記事でわかること
- オンライン研修は目的・対象を明確化し、方式・システムを計画的に選定することが重要。
- 教材設計・受講環境・サポート体制を整え、試験運用で課題を洗い出してから本導入へ。
- 導入後も効果測定と改善を継続し、柔軟で効率的な研修運用を実現する。
コロナ以降、企業や組織では従来の対面研修からオンライン研修(eラーニング化)への移行を検討するケースが増えています。
ただ、「なんとなく動画を流せばいい」わけではなく、計画的な準備と運用が成功の鍵を握ります。本記事では、導入前〜運用開始に至るまでのステップを整理し、押さえておきたい準備点をわかりやすく解説します。
オンライン研修導入の全体ステップ(概要)
まず、オンライン研修導入に向けた大まかなステップを示します。
- 目的と対象者の明確化
- 方式とシステムの選定
- コンテンツ準備
- 受講環境とインフラ整備
- 試験導入(パイロット運用)
- 本格導入・運用体制構築
- 運用・効果測定・改善
以下、各ステップで押さえるポイントと準備すべき項目を順に見ていきましょう。
1.目的と対象者の明確化
■ 導入目的を言語化する
まず真っ先にやるべきは、「なぜオンライン研修にしたいのか」を明確にすることです。
例えば:
- 研修コストの削減
- 多拠点社員への均等な学習機会提供
- 繰り返し活用可能な教材整備
- ナレッジの標準化・属人化排除
目的が曖昧だと、導入後の効果も不明瞭になります。
■ 対象者とゴールを定める
どの階層・部門の誰が受講するか、どのような成果を得てもらいたいかを具体的に設計します。
例:新入社員、営業部、技術部門、管理職など。
ゴール(例:テスト80点以上、操作スキル習得、認定取得など)を定め、社内で合意を取ることが重要です。
2.方式とシステムの選定
オンライン研修には、使う方式とシステムをどう選ぶかが鍵です。
■ 方式の選択肢
- オンデマンド配信:事前に動画や教材を作成し、受講者が好きなタイミングで学習
- ライブ配信:リアルタイムで講師が講義を行い、質疑応答等も可能
- ハイブリッド型:オンデマンド+ライブ/対面併用
研修内容や対象者の環境に応じて、適切な方式を選択します。
■ システム・LMSの選定基準
オンライン研修を支えるシステム(LMS や配信プラットフォーム)には、以下のような要件をチェックするのが良いでしょう。
- 進捗管理・受講履歴表示機能
- 動画・資料アップロード・配信能力
- モバイル対応・レスポンシブ設計
- テスト・クイズ機能・自動採点機能
- 権限管理(管理者、講師、受講者など)
- サポート体制・セキュリティ対応
クラウド型システムを使えば導入が比較的手早くできる、というメリットがあります。
3.コンテンツ準備
オンライン研修で学ぶ「中身(教材)」は、受講効果を左右します。
■ 内製 vs 外部調達
内製:社内マニュアル・資料を活用して準備。カスタマイズ性が高いが手間がかかる
外部調達:既存教材を購入・委託制作。手軽だが自社業務に合わない部分があることも
両者を組み合わせるハイブリッド方式も有効です。
■ 構成設計のポイント
1テーマずつ短く分割:10分前後のチャンク構成が使いやすい
導入 → 本編 → まとめという流れを意識
インタラクティブ要素(クイズ・問いかけ・演習)を挿入し、受講者を能動的に動かす
図解・スライド・動画+ナレーションの併用
補足資料 / PDF / ダウンロード資料も用意
■ 更新とメンテナンスを意識
教材は導入して終わりではなく、変化する業務・法令・技術に合わせて定期的に見直す設計にしておくと、長く使える仕組みになります。
4.受講環境とインフラ整備
受講者がストレスなく学べる環境を整えることも不可欠です。
■ ネットワーク・通信環境
動画コンテンツを扱う場合、受講者側・運営側ともに安定した通信回線が必要です。通信速度・回線の冗長化などもチェックしておきたい要素。
■ デバイス対応(PC/タブレット/スマホ)
受講者がどの端末で受講するかを想定し、マルチデバイス対応を前提にシステムを選びましょう。
モバイル対応(レスポンシブ・アプリ対応など)は必須となるケースも多いです。
■ サポート体制の構築
オンライン研修では、受講者からの問い合わせ(ログインできない、教材が再生されない、操作方法がわからない等)が増えがちです。
事前にFAQ整備、ヘルプデスク、導入説明会、トラブル対応フローを準備しておくと安心です。
5.試験導入(パイロット運用)
本格導入の前に、少数の対象者で試験的に運用を行い、問題点を洗い出すのが賢明です。
- 操作性・受講進行のしやすさを検証
- 通信トラブル・再生不具合などをチェック
- 受講者からのフィードバックを収集
- 改善点を反映して本番版にブラッシュアップ
このパイロット運用を省略すると、本番投入後にトラブルが相次ぎ、受講者の離脱を招きやすくなります。

6.本格導入・運用体制構築
パイロットでの検証を踏まえた後、本格導入に向けて準備を整えます。
■ 役割・体制の設計
運営担当者、教材管理者、受講者サポート担当、分析担当など、役割を明確にし、責任範囲を定めておくことが重要です。
■ 受講者への案内と浸透
研修目的、内容、スケジュール、学習手順、サポート窓口などを受講者とその上司に事前に周知します。
導入説明会・操作説明動画などを用意するのも効果的です。
■ リマインドとフォローアップ機能
未受講者・学習停滞者へ自動リマインドメール送信、進捗通知、モチベーション維持の仕掛けを組み込むと受講率が上がります。
7.運用・効果測定・改善
オンライン研修を成功させるには「導入したら終わり」ではなく、運用と改善を継続することが不可欠です。
■ 効果測定の指標設定
- 受講率・修了率
- テスト/理解度スコア
- 受講者満足度アンケート
- 実務上での行動変化・成果への影響
■ PDCAを回す
測定したデータや受講者の声をもとに、教材の改訂、進捗通知、学習導線改善などを行います。
定期的な更新と改善こそが、オンライン研修の価値を高めます。
まとめ:オンライン研修化を成功させるポイント
- 目的と対象を明確にすることが、全体設計の軸
- 方式・システムは運用性・利用環境を考慮して選ぶ
- 教材は短く分け、インタラクティブ要素を組み込む
- 受講環境・サポート体制をきちんと整備
- 試験運用で問題をあぶり出し、改善してから本導入
- 運営体制とフォロー体制を構築
- 効果測定と改善を回し続ける
オンライン研修は、正しく設計・運用すれば、従来の対面研修を超える柔軟性と効率性を提供できます。
manabi+ school の導入を検討される際には、ぜひこのステップをロードマップとして活用してください。