初心者向け|LMS(学習管理システム)の基礎知識と導入のポイント

この記事でわかること
- LMSは教材配信・進捗管理・テスト実施などをオンラインで一元管理できる学習管理システム
- 導入メリットは研修効率化・コスト削減・学習データ活用・自己ペース学習の実現
- 導入成功の鍵は目的明確化・必要機能選定・運用体制整備・サポート確認から始めること
近年、オンライン教育や企業の社員研修の分野で、よく耳にするようになったのが「LMS(学習管理システム)」です。
コロナ禍でのテレワークの普及やeラーニング需要の高まりとともに注目され、導入を検討する企業や教育機関が急速に増加しています。
しかし、いざ導入を検討しようとすると、
「LMSってそもそも何ができるの?」
「どうやって導入すればいいの?」
「種類が多すぎて選べない……」
といったお悩みを持つ企業や学校も少なくありません。
そこでこの記事では、LMSをこれから検討されている初心者の方へ、基礎知識から実際の選び方・導入のコツまでをわかりやすく解説します。ぜひ最後まで読んで、自社・自校に合ったLMS選びの参考にしてください。
1. LMS(学習管理システム)とは?
LMSとは「Learning Management System」の略で、日本語では「学習管理システム」と呼ばれています。簡単にいえば、学習に関するあらゆる情報をオンライン上で一元管理できるシステムのことです。
教材の配信、受講状況の確認、テストの実施、修了証の発行など、学習プロセス全体を管理・運営するプラットフォームとして活用されています。
従来の研修では、紙の資料配布や対面でのテスト実施、出席管理など、多くの作業が手作業で行われてきました。LMSを導入すれば、これらの作業がオンラインで完結し、研修担当者や受講者にかかる負担を大幅に軽減できます。
具体的には以下のようなことをすべてWeb上で完結できます。
- 教材(動画・PDF・テキスト)の登録と配信
- 受講者の進捗管理・修了確認
- 小テスト・アンケート・レポート提出
- 成績・履歴データの自動集計
- 管理者・講師・受講者ごとの権限設定
LMSは「eラーニング導入を実現するための土台」とも言えるシステムです。
2. LMSを導入する4つの大きなメリット
LMSの導入には、企業・教育機関・受講者のそれぞれにとって大きなメリットがあります。
①研修・教育の効率化
②コスト削減
③学習データの蓄積と活用
④ 受講者が自分のペースで学べる
共通するのは「教育の質と効率を同時に高められる」という点ですが、今回は以上の4点に分けてひとつずつ詳しく解説していきます。
① 研修・教育の効率化
もっとも大きなメリットは、研修や教育に関わる運営業務が大幅に軽減されることです。
教材の配布、進捗管理、成績管理などを自動化できるため、従来の研修業務を効率化できます。
特に複数拠点を持つ企業や、受講者数が多い大学や専門学校では、LMSの効果が顕著に表れます。
LMSは研修や教育の手間を減らし、担当者の時間を大幅に確保する最も効果的な仕組みといえるでしょう。
② コスト削減
LMSの導入は、長期的な教育コストの削減につながります。
従来の集合研修では、講師派遣費や交通費、会場費、印刷費など多くのコストが毎回発生していました。
LMSを使えば、オンライン配信の教材を繰り返し活用するため、長期的にコストを抑えることができます。
また、受講者の自己学習中心になり、長期的にみて経済的です。
LMSは教育の質を保ちながら、費用も抑えたい企業に最適といえるでしょう。
③ 学習データの蓄積と活用
データの蓄積は、LSMの大きな強みです。
「誰がどの教材を見たか」「テストの正答率はどのくらいか」「苦手分野はどこか」といった詳細なデータが自動で蓄積されていきます。
これにより「本当に理解できているか」といった教育効果の分析や、次回以降の研修への改善にもつなげられます。
LSMで蓄積した学習データを分析し、より効果的な教育にアップデートしていきましょう。
④ 受講者が自分のペースで学べる
LMSを使えば、時間や場所にとらわれず、自分のペースで学習できます。勤務時間中の空いた時間帯に学習でき、効率的です。
また、苦手な部分は繰り返し学習できるため、理解度の向上につながります。
LMSは受講者の学習効率と満足度を高める学習環境を提供することが可能です。
3. LMSの主な活用シーン3選
LMSは企業研修から学校教育、個人学習まで幅広く活用されています。ここでは特に代表的な活用例を以下の3つのシーンからご紹介します。
①企業研修での利用例
②教育機関での利用例
③個人での利用例
①企業研修での利用例
企業の社員教育は、年間を通して継続的に必要です。これをオンライン化することで、教育コストの削減と標準化を実現できます。
そのため、一度作った教材を繰り返し利用できるLMSは企業研修と非常に相性が良いのです。
- 新入社員研修(入社時の一括研修)
- 階層別研修(管理者研修、リーダー研修など)
- コンプライアンスや情報セキュリティ研修
- 全国の拠点への共通教育
- 資格取得や業務知識の習得支援
②教育機関での利用例
大学・専門学校・通信教育などでも、LMSが必須となりつつあります。
LMSを導入すると学生1人ひとりの受講状況が可視化されるため、学習支援にも活用が可能です。
- 大学や専門学校でのオンライン授業や試験
- 通信教育の教材配信・テスト管理
- 対面授業と組み合わせたハイブリッド型教育
③個人での利用例
個人でもLMSを活用する場面は増えています。
リスキリングの重要性が高まっている現代において、LMSは社会人の学習に欠かせません。
- 資格試験のオンライン学習
- スキルアップ講座や通信教育(プログラミング、デザインなど)
- 自宅での自己学習(語学、ITなど)
このように、LMSはあらゆる学習環境を支える“裏方”として、「教育をオンライン化したい」と考えるさまざまな場面で活躍しています。
4. LMS導入時のポイント4点
LMSを導入する際には、以下の4点に注意してスムーズな運用を心がけましょう。
①導入目的を明確にする
②必要な機能を洗い出す
③運用体制を整える
④サポート体制を確認する
以下でひとつずつ解説します。
① 導入目的を明確にする
まずは、なぜLMSを導入するのかを明確にしましょう。
「とりあえず流行っているから」と導入してしまうと、機能選定や運用ルールの策定がブレて失敗しやすくなってしまいます。
LMSは目的ではなく、あくまで手段のひとつです。以下の例を参考に、導入目的をはっきりと決めておきましょう。
- 社員教育の標準化
- 教育コストの削減
- 学習データの蓄積と活用
② 必要な機能を洗い出す
LMSには種類によってさまざまな機能がありますが、むやみに多くの機能が詰め込まれたものを選ぶのは最適な選択とはいえません。
自社・自校の教育内容に合わせて、以下の例のように最低限必要な機能を洗い出すことが大切です。
- 動画配信とテスト機能があれば十分
- 多拠点管理や多言語対応が必要
- SCORM対応や外部連携を重視
③ 運用体制を整える
LMSは導入して終わりではなく、むしろその後の運用が重要です。
運用体制が不明確だと教材の更新がされず、せっかくのLSMを充分に活用できません。
教材の更新担当者、進捗確認の頻度、受講者へのフォロー体制を事前に整えておくことで、継続的に活用できるようにしましょう。
運用体制が整っていれば、継続的に活用しやすいLMS環境を作れます。
④ サポート体制を確認する
LMSの導入時は、ベンダーのサポート体制を必ず確認しましょう。
LMSベンダーによっては、導入支援やマニュアル整備、操作研修などのサポートを提供している場合もあります。初心者が安心して運用するには、サポート体制の有無も重要な判断基準です。
サポートの充実度を確認することで、導入後のトラブルにも柔軟に対応できます。
5. 初心者でも安心して導入するために

初めてLMSを導入する場合は、いきなり全社展開を目指すのではなく、小規模な範囲から始めるのがおすすめです。
最初はどこでも運営に慣れておらず、トラブルが起こりやすいためです。
まずは一部部署や特定研修で試験運用し、ログイン率の高さや教材のわかりやすさなどのフィードバックを受講者から受け、課題を洗い出しましょう。
運用ノウハウを蓄積したうえで全体に広げていくと、スムーズに全社に定着させやすくなります。
また、操作方法に不安がある場合は、マニュアルやFAQを整備しておくと現場の混乱を防げます。
特に管理者向けの操作ガイドや、受講者が最初に見るチュートリアル動画を用意しておくと効果的です。
まずは小規模な運用で試験的にLMSを導入し、自社・自校に合ったシステムとマニュアルを準備してから、全体に展開させていきましょう。
まとめ
LMSは、教材配信や受講管理、学習データの分析などを一元的に行える便利なシステムです。
企業研修だけでなく教育機関や個人学習など、幅広いシーンで活用されています。
導入の際は、目的を明確にし、必要な機能や運用体制をしっかり整えることが成功のポイントです。
また、最初から完璧を目指す必要はありません。まずは小さく始めて、徐々に活用範囲を広げていくことで、LMSを効果的に活かせるようにしましょう。
eラーニングが当たり前になりつつある今、LMSは教育・研修の土台として欠かせない存在です。
この機会に、基本をしっかり理解して導入を検討してみましょう。
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