データ通信量課金プランと受講者ID課金プランの違いとは?特徴と選び方を解説

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この記事でわかること

  • 料金基準の違い:通信量課金=使った分だけ変動、ID課金=登録受講者数ベースで概ね固定。
  • 向いている運用:利用が少ない・波がある→通信量課金/人数が安定・予算を固定したい→ID課金(動画多用なら単価や安定性も比較)。
  • 選定軸と注意:利用量予測・予算固定性・将来拡張性を基準に選ぶ。無駄な通信削減やID整理、プラン変更の余地を確保するとコスト最適化に有効。

データ通信量課金プランと受講者ID課金プランの違いとは?特徴と選び方を解説

オンライン講座を運用する際、「どの料金体系を選ぶのか」は運用コストに大きく影響します。manabi+ school では、主に データ通信量課金プラン(従量課金型) と 受講者ID課金プラン(ID 課金型) の2つの料金モデルが提供されています。
この2つは同じシステムを使うにあたって料金発生の仕組みが大きく異なるため、用途や規模に応じて正しく選ぶことが重要です。

この記事では、両者の違いを整理し、それぞれの強みや注意点、実際に選ぶ際の視点を詳しく説明します。

1.料金モデルの基本構造:通信量課金型 vs ID 課金型

まず、両者の料金発生の仕組みを比較して押さえておきます。

モデル名課金の基準月額固定性変動コスト比率向いている運用形態
データ通信量課金(従量課金型)講義/教材の視聴・データ転送量低めまたは0円スタート高い(使った分だけ増える)利用が不定期、少人数/通信量中心の運用に適する
受講者ID課金型登録受講者数(アカウント数)比較的高め低め(通信量の影響が少ない)受講者数が予測可能、安定運用を前提とする場面に適する

つまり、通信量課金型は「使った分だけ支払う」モデルで変動コストが主体になるのに対し、ID課金型は受講者数に基づく固定型中心のモデルです。

2.データ通信量課金プランの特徴

◼️ 使った通信量に応じて費用が発生
動画教材、音声教材、PDF やスライド教材の表示・ダウンロードなど、教材にかかるデータ通信量がそのまま課金対象となります。
「視聴データ量 × 単価」などで月額が決まるため、月ごとの教材消費量によって料金が変動します。

◼️ 初期固定費を抑えやすい
通信量課金型は、定額の基本料金が安めに設定されているか、あるいは0円スタートというパターンもあり、初期コストを抑えて導入しやすい設計が可能です。
利用が少ない月は非常に安く抑えられる一方、利用が急増するとコストが跳ね上がる構造です。

◼️ 管理者 ID や動画配信量にも従量課金がかかる
教材視聴だけでなく、動画音声配信量(ストリーミング部分)や管理者 ID 数、管理セクション/販売セクションなどの追加項目にも課金が設けられており、これらも従量型コストに含まれます。

◼️ 利用量見通しが難しい場合のリスク
月ごとに受講者のアクセスが集中するような月では、通信量が急増して高額になりやすいというリスクがあります。
そのため、アクセス量ピークを想定して予算に余裕をもたせておくことが重要です。

3.受講者ID課金プランの特徴

◼️ 登録受講者数に基づいて課金
受講者アカウントをどれだけ登録しているか(あるいは利用可能なID数)を基準に料金が発生します。教材視聴量とはあまり関係がないモデルです。

◼️ 月額費用が安定しやすい
登録 ID 数が固定されれば、月額コストも一定になるため予算管理がしやすいメリットがあります。教材が複数あっても通信量が大きく変動しにくい運用形態では有利です。

◼️ 通信量に左右されにくい運用
通信量が多くても料金に大きく反映されにくいため、動画教材を多用する講座でも受講者数ベースでリスクを抑えられるケースがあります。

◼️ 登録 ID の上限設定や超過課金が生じる
ID課金プランには、無料で使える ID 数や超過した際の追加課金が設けられており、一定以上登録する場合には追加料金が生まれます。従量課金型と同じく、想定以上の登録が発生した月はコストが上がる可能性があります。

4.両モデルの具体プラン例(数値ベース)

manabi+ school の料金プラン案を例に、通信量課金型と ID 課金型の代表例を挙げてみます。具体数値を見比べることで、モデルの感覚がつかみやすくなります。

通信量課金型(従量プラン例)
通信制 0円プラン
月額基本料金:0円
データ通信課金:16円/MB
動画音声配信:1,200円/GB
管理者 ID:300円/ID
通信制 マスター型プラン
月額基本料金:100,000円
データ通信課金単価:1円/MB(一定量超過後)
動画音声配信:75円/GB(大容量対応)
管理者 ID:300円/ID
管理セクション、販売セクション等の追加費用
ID課金型プラン例
ID制 ノーマルプラン
月額基本料金:30,000円
受講者 ID 課金:300円/ID
管理者 ID 課金:300円/ID
ID制 マスター型プラン
月額基本料金:150,000円
受講者 ID 単価:75円/ID
管理者 ID:300円/ID
上限規模や拡張対応

これらの例から、通信課金型は「利用量の大小に敏感」な料金構造であること、ID課金型は「受講者数を中心とした安定性重視」な構造であることが見て取れます。

5.どちらを選ぶべきか?選定の視点

では、自社の運用にとってどちらのモデルが適しているかを判断するための視点を整理します。
視点 A:利用実態との整合性

  • 講座利用が断続的・時期ごとばらつきがある → 通信課金型の変動性を活かせる
  • 毎月一定人数が継続利用する講座 → ID課金型で安定コストを実現しやすい

視点 B:通信量の予測可能性

  • 動画教材を多用し視聴量がばらつきやすい講座設計 → 通信量課金単価が低いモデルを選ぶ余地
  • 教材が軽量(PDF・スライド中心)なケース → ID 課金型でも通信量に関わるコストは抑えやすい

視点 C:拡張性・リスク対策

  • 将来的な受講者数増加を見込むなら、ID 課金型の拡張性を持つ上位プランを検討
  • 通信量ピーク対策として、通信課金型でも「最大料金設定」「上限課金設計」が付帯可能かをチェック

視点 D:コスト予算管理のしやすさ

  • 月ごとの費用変動が許容できるなら通信量課金型でも問題ない
  • 予算固定性が強く求められる場合は、ID 課金型の方が見通しが立てやすい

6.運用上の注意と設計のヒント

モデルを選ぶ際、以下のような実務上の注意点・設計のヒントも押さえておきましょう。
無駄な通信量を削減する工夫

  • 教材動画の画質設定(標準画質/低画質切替)を提供し、通信量を抑えられるようにする
  • 使われていないコンテンツを定期的に整理・削除して、不要なストレージ/通信コストを制御
  • ID管理の最適化
  • 不要な受講者 ID を削除・整理する運用ルールを設けておく
  • テストアカウントやデモアカウントなどは別管理し、課金モデルに影響しないように配慮

プラン変更余地の確保
利用実績を見ながら、モデル変更や上位プランへの移行が柔軟にできる契約設計をあらかじめ検討
通信量課金型から ID課金型、またはその逆への移行時のコスト比較シミュレーションを事前に行っておく
初期費用と長期コストのバランス
モデルを選ぶとき、初期導入コスト(初期費用)も含めたトータルコストで判断すること。初期費用を抑える代わりに月額費用が高くなる構成もあり得ます。

7.まとめ:自社運用に合ったモデルを選ぶために

manabi+ school の料金体系には、「通信量課金型プラン」と「受講者 ID 課金プラン」の2大モデルがあります。これらは課金の基準が異なるため、運用スタイルや見込み利用量に応じて使い分けることが重要です。
通信量課金型:使う分だけ支払う変動型。初期費用抑制や少人数運用に向く。
ID課金型:登録受講者数に基づく固定型。安定性重視・予算管理重視の運用に向く。
自社の講座設計や利用の想定規模をもとに、どちらのモデルがコスト効率・運用安定性を両立できるかを検討してみてください。
モデル選定後は、講座設計・コンテンツ設計・ID管理設計を整えることで、無駄なコストを抑えつつ効果的な eラーニング運用が可能になります。