医療業界で起きるeラーニング不正受講|事例と対策を解説

医療業界でeラーニングの導入が進むなか、「不正受講」という新たな課題が顕在化しています。忙しい医療の現場では、まとめ受講やテストの共有、ながら視聴といった不正行為が起こりやすく、教育の質低下から医療事故につながるリスクも無視できません。そこで本記事では、代表的な3つの不正パターンとその原因を深掘りしたうえで、すぐに実践できる対策やeラーニングの効果を高める運用設計のポイントを解説します。

医局でeラーニング動画を視聴する30代後半の男性医師
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この記事でわかること

  • 医療現場では多忙さや意識不足から不正受講が発生しやすい
  • 不正受講は目的不明確・評価未反映・設計不備が主因
  • 対策には本人確認・ログ管理・運用設計の最適化が重要

1. 医療業界のeラーニングで起きている不正受講の実態

医療業界におけるeラーニングの不正受講は、「運用」と「システム設計」の両面で対策しなければ防げません。

医療業界では、医学知識の教育や医療ガイドラインの改定、新薬の解説などでeラーニングが取り入れられることがあります。

厳格な教育が求められる一方で、多忙を極める現場の課題から不正受講が発生するケースもあるのです。

本記事を読む前にeラーニングの導入方法やeラーニングシステムの活用メリットを確認しておきたい方は、👉「eラーニング導入の基本」をご覧ください。不正受講のような構造的課題と対策の考え方を解説しています。

1.1 業務優先によるまとめ受講

急患対応や論文作成などで忙しい医療現場では、複数人分の受講を1人がまとめて処理するような不正行為が発生することもあります。

複数の端末からそれぞれ別アカウントでログインし、1人が全端末の動画再生ボタンを押す行為です。

記録上は複数人が講座動画を視聴したことになりますが、実際は1人が複数人分の再生ボタンを押しただけなのです。

このような不正受講は、学会のオンライン配信などでも禁止事項として明記されています。

業務が多忙を極めているとeラーニングの受講の優先度が下がりやすくなり、「受講さえすればよい」と認識してしまうことが原因です。

1.2 テストの共有化

理解度テストの問題や解答を受講者同士で共有することも、不正受講の一つです。

実際に、大学病院で実施したeラーニングのテストが毎回同じ解答であったため、他の受講者に情報が漏れていた事例が確認されています。

他業界でも、複数人が同時に理解度テストを実施し、解答を教え合いながら進めていた事例もあります。

理解度テストに出る問題や回答だけを暗記していても、講座内容の全てを深く理解できたとはいえません。

教育内容を理解するよりも、「合格すること」が目的化していることによる問題行為です。

1.3 講座動画の流しっぱなし・ながら見

動画の音声を消した状態で再生しながら他業務を行ったり、再生したまま離席したりする行為も不正受講といえます。

実際には見ていないものの、形式上は受講済みになっているケースです。

システムによっては、動画を再生してすぐに停止ボタンを押しても、「視聴完了」と表示されてしまう事例もあります。

なかには、そのようなシステムの特性を利用して、講座を適切に受けないまま修了が認められたケースもあるのです。

2. 医療業界でeラーニング不正受講が起こる原因

医療業界でeラーニングの不正受講が発生する理由には、受講者の業務過多や実施目的が認識されていないことが挙げられます。また、実施目的が「受講すること」になっており、「理解すること」への意識が薄れているという問題もあります。ここでは、医療業界における不正受講の原因を深掘りします。

2.1 目的が共有されていない

スタッフがeラーニングの実施目的を正しく認識できていない場合、不正受講が発生しやすくなります。

学ぶ理由やメリットが理解されていないと、「eラーニングを受けても意味がない」と考えられてしまうからです。

例えば以下のようなeラーニングの実施目的を、受講対象者であるスタッフ全員に伝えることが大切です。

  • 医療事故の防止
  • 最新医療技術の習得
  • 接遇・マナーの質向上
  • 新薬の副作用・医療ガイドライン改定の周知

受講者が学ぶ意味やメリットを認識することで、積極的に取り組みやすくなるでしょう。

2.2 人事評価への反映

eラーニングの成績や取り組み方が人事評価に反映されていない場合も、不正受講につながるケースがあります。

eラーニングをやらなくても評価に影響しないことで、形骸的な受講になってしまうからです。

具体的には、自発的に研鑽を積んでいるか、eラーニングで身につけた知識や技術を現場でどのように活用しているかといった受講態度や実績の変化などを、人事評価対象に含むべきといえます。

eラーニングが人事評価に関わるという認識が広まれば、より前向きな姿勢で学ぶスタッフが増えるでしょう。

2.3 運用設計の不備

eラーニング運用や設計が原因で、不正受講を防げないケースもあります。

受講者の管理機能が不十分なシステムや、修了条件が単純である設計では、形骸的な受講になりやすいです。

具体的には、受講者の進捗率やテストのスコアなどから理解度を計測したり、修了条件を複合化したりすることで、不正受講の予防につながります。

不正受講を運用設計で防ぐコツは、👉「不正受講を防げないeラーニングの共通点」で詳しく解説しています。

不正受講の対策ができるeラーニングシステムの選び方が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

3. 医療業界におけるeラーニング不正受講の防止策

看護師の休憩室でeラーニングの顔認証を行う20代後半の女性看護師

医師や看護師、薬剤師や医療事務など、医療職の人々が適切に受講するためには、eラーニングシステムを活用しながら仕組み化することがおすすめです。ここでは、医療業界における不正受講の防止策について解説します。

3.1 理解度テストの強化

各単元や講座の最後に行う理解度テストを強化することも、不正受講対策につながります。

問題のランダム出題や設問シャッフル、個別出題が可能なシステム設計によって、テストを受講者間で共有できなくなります。

なお、SaaS型eラーニングシステムを活用した理解度テストの作り方については、👉「LMS理解度テストの作り方」で解説しています。

3.2 本人確認の強化

不正受講を防ぐにあたって、本人確認は強化するべきポイントといえます。

ログイン時だけではなく受講中にも顔認証を実施することで、「なりすまし受講」「代理受講」などの代表的な不正行為を防げるからです。

例えば当社のmanabi+ school では、初回ログイン時に顔写真を登録し、それ以降は登録された顔と一致しない限り受講サイトにログインできません。
詳しくは、👉こちらをご覧ください。

👉「本人確認・監視機能と対策ポイント」はこちらにも情報が整理されておりますのでご確認ください。

3.3 ログデータの活用

eラーニングシステムで記録しているログデータも、不正受講対策に活用できます。

ログデータを活用することで、異常な高速受講や極端に短い視聴時間などの不正兆候を検知できます。

例を挙げると、以下のようなログデータが受講者管理に活用できます。

  • 講座の受講開始数・完了数
  • 進捗率
  • 講義単位の合計視聴時間
  • 合計スライドPV(スライド形式の資料で学ぶ講座の場合)
  • 行動履歴

manabi+ school で記録できるログデータについては、👉「取得可能な情報と管理画面での確認方法」をご覧ください。

3.4 修了条件の複合化

修了条件を複数設定することも、不正受講の防止に効果的です。

ただ「動画を視聴しただけ」「テストの合格スコアを獲得しただけ」といった単純な条件では、形骸的な受講になりかねません。

具体的には、以下の条件を組み合わせるのがおすすめです。

  • 動画の視聴完了
  • 理解度テスト80点以上獲得
  • 離席検知なし

複合的な修了条件を設定した場合も、必要な機能が備わったeラーニングシステムを導入することで、運用コストを下げながら研修効果を高められます。

不正受講対策をシステムで実現したい方は、SaaS型eラーニングシステムmanabi+ school の無料トライアルをお試しください。実際のログデータや本人認証機能を使いながら、自院での運用イメージを具体的に確認できます。無料トライアルのお申し込みや具体的な料金については、こちらからお問い合わせいただけます。

4. 医療業界の不正受講を防ぐ運用設計のポイント

不正受講を防ぐための機能や教材を用意しても、運用に落とし込まなければ意味がありません。

ここでは、医療業界のeラーニングで不正受講を防ぐための、運用設計ポイントを詳しく紹介します。

👉「事例と防止策を解説」はこちらも参考になります。

4.1 学習プロセスの可視化

eラーニングにおいて、修了の可否だけではなく学習のプロセスを把握することも大切です。

学習プロセスの可視化によって、不自然な受講や個別フォローが必要な受講者に気がつきやすくなります。

例えば視聴ログや単元ごとの理解度テストなどを取り入れることで、動画の視聴状況や躓いたポイントを確認することが可能です。

最終テストのスコアがよくても、学習途中の進捗などから適切に学んだかどうかを判断できます。

4.2 KPIの設定

eラーニングの運用におけるKPI設計も、不正受講対策につながります。

KPIによって、途中で方向性を見失うことなく一貫性のあるeラーニング運用が可能になります。

具体的には、受講者の継続率や理解度などを指標にするのがよいでしょう。

eラーニングシステムを用いた運用のKPI設計については、👉「eラーニングKPI設計」に例文つきでまとめています。

KPIを設計して実務に活かされるeラーニングを運用するためのポイントを、あらかじめ確認しておきましょう。

4.3 現場連携の強化

eラーニング運用では、SaaS型システムを導入するだけではなく現場の意見を取り入れて連携することが重要です。

現場で起きているインシデントや課題とeラーニングの内容が乖離していれば、受講者はeラーニングに当事者意識を持ちにくくなります。

教材を設計したり運用体制を組んだりするには、以下のような現場の状況を確認しておくのがおすすめです。

  • 現場の課題
  • スタッフの知識・技術レベル
  • 受講可能な時間帯
  • 受講の際に使用が想定される端末

eラーニングが現場に浸透するように、導入前には説明会を開催したり、グループウェアで導入目的や使用方法を周知させたりするのがよいでしょう。

4.4 継続的な改善

eラーニング導入後は、データを基に運用を改善し続ける必要があります。

継続的な改善を行うことで、形骸的な受講や不正受講の慢性化を防ぎ、より実務的な知識や技術をスタッフに提供できるでしょう。

運用を見直すには、視聴ログや継続率の確認、現場への影響などが判断基準になります。

「eラーニングの継続率が上がらない」「研修効果が見られない」と悩む前に、小まめに運用体制の見直しを行いましょう。

👉「eラーニング運用改善」では、継続率を高めるための具体的な改善方法を紹介しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

eラーニングの不正受講は、受講者の意識だけで防げるものではありません。

重要なのは、業界特性を理解したうえで原因を構造的に捉え、不正できない設計にすることです。

これらを実践することで、「受講しただけの教育」から「成果につながる教育」へと進化させられます。

eラーニングを活用する企業は、ぜひ不正受講対策を前提とした設計を行いましょう。

当社のmanabi+ school は、LMS(問題登録、動画配信、課金システム、顔認証、空間認知AI等)やフロントサイト、レイアウトを自由に出来るFSE(Flex Site Engine)を持ったサービスです。

不正受講を防ぐための機能を標準搭載しているため、現状の課題整理からでもお気軽にご相談ください。

実際に自院で活用できるか試してみたい方は、無料トライアルもご利用いただけます。