警備業の法定教育をeラーニングSaaSで|新任・現任教育のなりすまし対策と記録の残し方

本記事では、警備業の法定教育(新任教育・現任教育)を、シフト制・複数現場の警備会社でeラーニング化し、教育記録を確実に残す運用設計を解説します。

令和元年の警備業法施行規則改正で、警備員の教育へのeラーニング導入は正式に認められています。

警備業の教育で問われるのは、法定の教育時間を満たし、なりすましなどの不正受講を防ぎ、教育記録を立入検査に耐える形で残すことです。SaaS型eラーニングでこれをどこまで担保できるかをみていきます。

法定教育のeラーニング化を検討する警備会社の営業所。管理担当の男性がノートパソコンを前に、警備員・顔認証・教育記録の3つのアイコンで構成された「警備業の法定教育をeラーニングSaaSで」という画面を確認している。
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この記事でわかること

  • 令和元年の警備業法施行規則改正で見直された新任教育・現任教育の教育時間と、eラーニングが認められた範囲
  • eラーニングで警備員教育を行う際に法令が求める4要件と、なりすまし・不正受講を防ぐLMS機能の対応関係
  • 教育計画書・教育実施簿に必要な記載事項と、立入検査に耐える形で2年間の記録を残す運用方法

1.警備業に求められる法定教育とeラーニング化の全体像

警備業界で教育をeラーニング化する前に、まずは、どの教育が法律上の義務で、どの教育の記録を残すべきかを押さえます。警備員の教育は、警備業法とその施行規則が根拠です。

1-1.新任教育・現任教育と指導教育責任者

警備業法は、警備業者に対して警備員への教育を義務付けています。教育内容は大きく次の二つです。

  • 新任教育:警備業務に従事させる前に行う教育。警備員に共通して必要な「基本教育」と、担当する警備業務の区分(施設警備・機械警備、雑踏・交通誘導、貴重品等の運搬、身辺警護)に応じた「業務別教育」で構成されます。
  • 現任教育:すでに従事している警備員に対して、各年度ごとに継続的に行う教育。

教育の計画・実施・記録をする中心的な役割を担うのが、営業所ごと・取り扱う警備業務の区分ごとに選任が義務付けられている、警備員指導教育責任者です。教育がきちんと回るかどうかは、この責任者が計画的に教育を進め、記録を整えられるかにかかっています。

1-2.令和元年改正で変わった警備員の教育時間とeラーニングの正式化

令和元年の警備業法施行規則(内閣府令)改正で、教育時間と教育方法が見直されました。

  • 新任教育:30時間以上から20時間以上に短縮(基本教育と業務別教育の時間数を統合)
  • 現任教育:半期ごと・年16時間以上から、年度ごと・毎年度10時間以上に

そして実務上とりわけ大きいのが、eラーニングが警備員の教育方法として正式に認められたことです。シフト制・複数現場で全員を同時に集めにくい警備業にとって、教育を回すうえでの大きな追い風です。

※教育時間の区分・数値や実技の扱いは改正・区分で異なり得るため、実務では必ず警察庁・都道府県警察の一次情報で最新の要件をご確認ください。

1-3.eラーニング(電気通信回線を使用する講義)に求められる法定教育4要件

ただし、eラーニングならなんでもよいわけではありません。電気通信回線を使用して行う講義には、次の4つの要件が求められます。

  • 本人確認:受講者が本人であるかどうかを確認できること
  • 受講状況の確認:受講者の受講の状況を確認できること
  • 知識習得の確認:警備業務に関する知識の習得の状況を確認できること
  • 質疑応答の機会:質疑応答の機会が確保されていること

この4要件は、単に動画を配信するだけのツールでは満たせません。逆にいえば、4要件を満たせるLMS(受講管理システム)を選べば、警備員教育のeラーニング化は法令に沿って正しく進められます。LMSそのものの役割は、「LMS導入の基本」で解説しています。 

2.警備員の法定教育4要件を満たすeラーニングSaaSの選び方

警備員教育をeラーニングと対面に振り分ける「学科と実技の役割分担」を示した画面を、オフィスで男性社員2人が確認している場面。左側にはノートや顔認証端末、テストのアイコンが、右側には対面での訓練を表すアイコンが並んでいる。

ここでは、SaaS型eラーニングに任せられる部分と、対面で残すべき部分を線引きしたうえで、法定教育4要件をLMSのどの機能で満たすかを整理します。 

2-1.実技はeラーニングで代替できない

護身術や警戒棒・護身用具の取扱い、交通誘導の実地訓練といった実技は、eラーニングではできません。

警備業界の教育の設計は、「学科(基本教育の知識部分など)はeラーニングで、実技は対面で確実に」という、「対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド教育」が現実的です。学科を先にオンラインで済ませておけば、対面での研修を実技に集中させられ、教育全体の回転効率も上がります。

2-2.なりすまし・不正受講を防ぐ本人確認と、受講状況・知識習得・質疑応答の担保

法定教育の4要件は、実はLMSの機能とほぼ一対一で対応します。manabi+ schoolのサービスを例にとると以下のとおりです。

  • 「受講時の顔認証」で本人確認ができる
  • 「視聴ログや空間認知AIによる離席・複数人検知」で受講状況の確認ができる
  • 「章末の理解度テスト」で知識習得の状況の確認ができる
  • 「チャットや問い合わせ窓口、集合での補講」と組み合わせれば質疑応答の機会を作れる

動画を配信するだけのツールでは、4要件のうち本人確認も受講状況の確認も担保できません。eラーニング選定の大前提は、これら全体を一つのeラーニングシステムでそろえられるかどうかです。なりすましをはじめとする不正受講対策・受講監視の考え方は「受講監視が重視される理由」で、理解度テストの設計は「自動採点テストの設計」で詳しく扱っています。manabi+ schoolにおける、法定教育4要件を満たすための具体的な実装は、こちらで確認できます。

3.立入検査に耐える警備員法定教育の記録の残し方

警備員教育は、実施するだけでは足りません。「なにを・いつ・誰に・何時間実施したか」を記録し、一定期間保存することまでが法令上の義務です。ここでは、営業所に備えておくべき書類と保存期間を確認したうえで、記録の作成・集計をシステム化する方法と、eラーニングの視聴ログで法定時間の受講をどう証明できるかを、整理します。 

3-1.教育計画書・教育実施簿(法定2年保存)に必要な記載事項

営業所では、主に以下の記録を備え置き、一定期間(2年間)保存しなければなりません(警備業法第45条・施行規則第66条)。

  • 年度ごとの教育計画書
  • 教育実施簿:教育の実施年月日・内容・方法・時間数・実施場所・実施者の氏名・対象となった警備員の氏名を記録し、指導教育責任者と実施者が誤りのないことを確認した旨を付記したもの

これらを紙で管理していると、記入漏れや紛失、時間数の集計ミスが起きやすく、記載事項が一つでも欠けたり誤りがあれば、立入検査で不備を指摘されるリスクがあります 。

3-2.警備員の教育記録の作成・集計をシステム化する

紙での管理をやめ、eラーニングと受講管理をシステム化すれば、誰が・いつ・どの教育を・何時間受講したかが自動でデータ化され、教育実施簿に必要な項目がそのまま蓄積されるため、記入漏れや集計ミスが起きません。

また、警備員別・営業所別にCSVで出力できるため、教育計画に対する実施状況の突合や、検査への提出資料の作成が、大幅に楽になります。蓄積した記録を教育改善に活かす考え方は「学習データの活用方法」も参考にしてください。

3-3.視聴ログで法定時間の受講を担保して不正受講を防ぐ

eラーニングの場合、教育実施者は受講の様子を直接見られません。そのため、「所定の教育時間を実際に受講したかを視聴ログで客観的に示す」必要があります。 

視聴ログで、規定の時間・範囲を確かに視聴したことを記録すれば、法定時間の充足を客観的に示せます。ただ動画を再生しただけではなく、いつ・どこまで視聴したかが残るため、教育を確実に実施した裏付けができます。法定教育を記録つきでオンライン化する考え方は、業界は違いますが「建設・製造業の安全衛生教育をeラーニングで回す設計」と共通点が多く、参考になります。

受講記録の蓄積からCSV出力までを一つの基盤で行う機能については、こちらをご覧ください。

4.シフト・多現場・夜勤でも警備員の法定教育を止めないeラーニング運用のコツ

法定教育の4要件を満たしたLMSを入れても、警備員が受講しやすい環境になっていなければ、教育は進みません。ここでは、直行直帰やシフト勤務を前提にした配信形態と、現任教育の未受講を出さない受講管理の回し方を整理します。

4-1.スマホ受講・直行直帰を前提にしたeラーニング配信

警備員は現場に直行直帰することが多く、夜勤やシフト勤務も一般的です。営業所に集めて一斉に教育するのは難しい業種といえます。

そこで、スマートフォン一つで受講でき、勤務の合間や待機時間にも学べる配信にしておけば、「勤務形態がシフト制のスタッフ教育」と同様に、「時間が取れず未受講」になるのを防げます。

また、新任教育の学科を入職直後からeラーニングで進められれば、現場配置までのリードタイムも短縮できます。

4-2.現任教育の抜け漏れを防ぐLMSの受講管理

現任教育は、年度ごとに全警備員へ実施する必要があるため、誰が未受講かを常に把握できる状態にしておかなければなりません。

受講管理をシステム化すれば、未受講者へのリマインドや年度末の駆け込み集計を、指導教育責任者の負担を増やさずに回せます。多数の現場・多数の警備員を抱えるほど、この一元管理の効果は大きくなります。

5. 警備業向けeラーニングSaaSの選定チェックリスト

警備業の法定教育でeラーニング・受講管理ツールを選ぶ際は、「受講管理に強いLMSの選び方」の基本をふまえつつ、次の観点を確認しておくと安心です。

確認する観点何を確認するか
法定4要件本人確認・受講状況・知識習得・質疑応答の4つを、一つのシステムで担保できるか
法定時間の証明視聴ログで、規定の時間・範囲を実際に受講したことを示せるか
記録の保存・出力教育計画書・教育実施簿に必要な項目を蓄積し、2年間の保存とCSV出力ができるか
受講環境スマホ受講に対応し、直行直帰や夜勤のすきま時間でも学べるか
業務区分への対応施設警備・雑踏・交通誘導など、担当区分に応じた業務別教育を分けて割り当てられるか
規模への耐性営業所数・警備員数が増えても、未受講の把握と集計が破綻しないか

6.よくある質問(FAQ)

Q.新任教育・現任教育はすべてeラーニングで完結できますか?

学科(知識)部分は、法が求める4要件を満たせばeラーニングで実施できます。ただし、護身術・護身用具の取扱いなどの実技はオンラインに置き換えられないため、「学科はオンライン、実技は対面」のハイブリッドで設計するのが基本です。教育時間の区分や実技の扱いは、必ず所轄の都道府県警察の最新の運用をご確認ください。

Q.教育記録はどのくらい保存すればよいですか?

教育計画書や教育実施簿などは、警備業法施行規則に基づき一定期間(2年間)の保存が求められます。保存年限や様式の詳細は、施行規則・通達で定められ改正され得るため、システムで自動的に記録が蓄積・出力できる状態にしておくと、保存義務にも検査対応にも安心して備えられます。

7.まとめ:警備業の法定教育を「止めない・記録が残る」体制へ

警備業の法定教育は、令和元年の施行規則改正でeラーニングが正式に認められ、シフト制・複数現場でも教育を回しやすくなりました。ただし、オンライン化そのものがゴールではありません。次の3つを設計できて、はじめて「止めない・記録が残る」体制になります。

  • 本人確認・受講状況・知識習得・質疑応答の4要件を満たし、学科をeラーニングで実施する(実技は対面で残す)
  • 視聴ログで法定時間の受講を証明し、なりすましなどの不正受講を防ぐ
  • 教育計画書・教育実施簿を、立入検査に耐える形で2年間残す

当社のmanabi+ schoolは、LMS(問題登録・動画配信・顔認証・空間認知AI等)やフロントサイト、レイアウトを自由に設定できるFSE(Flex Site Engine)を搭載したSaaS型eラーニングサービスです。顔認証による本人確認、視聴ログ、理解度テスト、受講記録の一元管理・CSV出力、スマホ受講まで、警備員教育の4要件と記録整備を一つの基盤で支援します。警備業の新任・現任教育のeラーニング化を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。