保育所・認定こども園の園内研修・キャリアアップ研修をeラーニングで|処遇改善加算に効く受講記録の残し方
本記事では、保育所・認定こども園の園内研修とキャリアアップ研修の受講管理でSaaS型eラーニングをどう活用し、処遇改善等加算や監査に耐える受講記録をどう残すかを解説します。
保育現場の研修で真に問われるのは、法定の義務研修とキャリアアップ研修を、多忙な現場でも全職員に行き渡らせ、その受講記録を加算要件や指導監査に耐える形で残せるかどうかです。 集合研修をオンラインにできるかではありません。
特に2026年度(令和8年度)は、処遇改善等加算Ⅱ(現・区分3)のキャリアアップ研修修了要件が完全実施を迎えました。「誰がどの分野を修了したか」の記録が、そのまま加算額を左右します。

この記事でわかること
- 保育所・認定こども園に求められる義務・努力義務研修と、保育士等キャリアアップ研修という二層構造の全体像
- 処遇改善等加算Ⅱ(現・区分3)の令和8年度完全実施と、4分野60時間の修了要件が園の収入に与える影響
- 加算申請・指導監査に耐える受講記録を、eラーニングSaaSで一元管理し、本人の受講を担保する運用設計
1.eラーニングSaaSで管理すべき保育所・認定こども園に求められる研修
保育所・認定こども園の研修は主に、「法令で園に課される義務研修」と「職員個人のキャリアアップ研修」の2つです。まずは、法令上の義務研修はなにか、何を記録して残すべきか、どのような研修を受講させるべきかを整理します。
1-1.園の義務・努力義務研修(安全計画・虐待防止・感染症・BCP)
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(および子ども・子育て支援法の確認基準)は、園に対して複数の研修・訓練を、義務または努力義務として求めています。代表的なものは次のとおりです。
- 安全計画に基づく研修・訓練:2023年4月から全ての保育所等に安全計画の策定が義務化され、職員への周知と、計画に定める研修・訓練の定期的な実施が求められています。
- 虐待等の防止のための研修:不適切な保育・虐待を防ぐための職員研修。
- 感染症・食中毒の予防のための研修:まん延防止のための対策と訓練。
- 業務継続計画(BCP)に関する研修・訓練:感染症や非常災害時に保育を継続・早期再開するための計画と周知。
これらは、「園として実施し、記録を残す」タイプの研修です。早番・遅番・非常勤が揃わない保育の現場で研修を均質に届ける難しさは、「シフト制のスタッフ教育」でも同じ課題が語られていますが、全職員・非常勤まで含めて漏れなく受講させ、実施記録を監査で示せる状態にしておく必要があります。
※制度・基準は改正され得るため、実務では必ずこども家庭庁・自治体の一次情報で最新の要件をご確認ください。
1-2.保育士等キャリアアップ研修(8分野×各15時間)
これは、職務分野別リーダー・専門リーダー・副主任保育士などの役割に応じて受講する、都道府県等が実施(または指定団体が実施)する研修です。分野は8つあり、1分野あたり15時間以上が修了要件とされています。
- 乳児保育
- 幼児教育
- 障害児保育
- 食育・アレルギー対応
- 保健衛生・安全対策
- 保護者支援・子育て支援
- マネジメント
- 保育実践
この研修は単なるスキルアップではありません。保育実践を除く7分野の修了状況がそのまま職員の賃金改善の原資に関わります。
処遇改善等加算Ⅱ(現・区分3)の研修修了要件は、令和8年度(2026年度)に完全実施を迎え、副主任保育士・専門リーダー等は、7分野のうち 4分野(60時間)以上の修了が必須になりました。要件を満たさなければ、加算の対象外となり得るため、「誰が・どの分野を・いつ修了したか」を正確に把握・証明できるかが、園の収入に直接影響します。
裏を返せば、キャリアアップ研修の受講・修了記録を一元管理し、いつでも一覧・出力できる状態にしておくこと自体が、加算を確実に受け取るための要件になります。義務研修と加算要件の研修の二層を、記録の観点でどう束ねるかが本記事のテーマです。
なお、法定研修を加算・監査に耐える受講記録つきでeラーニング化する考え方は、業界は違いますが「介護の法定研修をオンラインで回す設計」と共通点が多く、あわせて読むと記録運用の勘所がつかめます。
2.自園ではどの研修をeラーニングSaaSでオンライン化すべきか
キャリアアップ研修は実施団体が提供するものを受講すればよいですが、義務研修は園で用意します。ここでは、どちらをどう受講させればよいかを整理します。
2-1.キャリアアップ研修はオンライン受講が広がっている
保育士等キャリアアップ研修は、近年オンライン(eラーニング)での受講が広がり、多くの実施団体がパソコン・スマートフォン・タブレットで、すきま時間に受講できる形を提供しています。
1分野15時間以上の時間を、シフトの合間に分割して受講できるのは、人員に余裕のない保育現場にとって大きな利点です。
ただし、実施主体や受講方法は都道府県・実施団体によって異なるため、自園の職員が受講する研修がオンライン対応か、修了証がどう発行されるかは、必ず実施団体の要項で確認してください。
2-2.園内の義務研修は自園のeラーニングSaaSで全職員に均質配信
一方、安全計画・虐待防止・感染症・BCPといった園が実施すべき義務研修は、自園のeラーニング基盤で配信するのが有効です。
集合研修だと、早番・遅番・非常勤が全員揃うのが難しく、参加できない人が出てきます。eラーニングで、動画教材と項目末の理解度チェックで配信すれば、勤務時間の異なる職員にも同じ内容を均質に届けられ、受講の有無も自動で記録できます。 理解度チェックに「自動採点テストの設計」を組み込んでおくと、採点の手間もかかりません。
また保育士は、日中まとまった研修時間を取りにくい職種です。1本15〜30分程度の短い動画に分けておけば、休憩時間や登園前後のすきま時間に、少しずつ計画的に進められます。
園独自のヒヤリハットや園舎の危険箇所を教材化できるのも、自園配信ならではの強みです。
3.加算・監査に耐える受講記録をeラーニングSaaSでどう残すか

記録は、残っていればいいというものではありません。加算の申請や指導監査で問われるのは、誰がどの分野を修了したかを一覧で示せること、そしてその受講が本人のものだと言えることの2つです。ここでは、その2点をどう担保するかを扱います。
3-1.「誰がどの分野を修了したか」を一元管理してCSV出力する
処遇改善等加算Ⅱ(現・区分3)の要件管理でよくあるのは、キャリアアップ研修の修了状況を、紙やExcelで属人管理しているケースです。職員ごとに、どの分野を・何年度に修了したか、あと何分野必要かを手作業で追うのは、人事異動や退職が絡むと一気に破綻しかねません。
園の義務・努力義務研修の安全計画・虐待防止・感染症対策などは、非常勤・パートも含めた全職員が対象です。eラーニングと受講管理をシステム化すれば、園の義務・努力義務研修の受講記録も、キャリアアップ研修の修了状況も、台帳で一元管理し、職員別・分野別にCSVで出力できます。すると、加算の申請資料や指導監査での提出資料の作成が、格段に楽になるのです。蓄積した記録を研修改善に活かす分析の考え方は、「学習データの活用方法」で解説しています。
3-2.「本人が受講した」ことを担保する
園の義務・努力義務研修をeラーニング化しても、動画を再生しただけで受講完了とみなすのでは、本人が本当に視聴・理解したかを担保できません。
manabi+ schoolでは、研修の修了条件を複数設けられます。動画を最後まで視聴した記録と、理解度テストの合格の両方を満たして初めて修了とする、といった設定です。再生して流し見しただけでは修了にならないため、「本人が全課程を受講した」という記録の信頼性が高まります。 信憑性の高い修了証跡の残し方は、「修了証の信頼性を高める設計」で詳しく扱っています。
過度な監視は保育現場になじみませんが、受講の事実を軽く担保する仕組みを入れておくだけで、記録の信頼性は大きく変わります。園の研修と加算の受講記録を自園でどう回すか相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。
4.保育所・認定こども園のeラーニングSaaS選定チェックリスト
保育所・認定こども園で、自園で行う研修のeラーニング・受講管理ツールを選ぶ際は、次の観点を確認しましょう。
- 記録:園内の義務研修とキャリアアップ研修の修了状況を、職員別・分野別に残し出力できるか
- 加算対応:処遇改善等加算Ⅱ(現・区分3)の要件に照らして、あと何分野必要かを把握できるか
- 受講の担保:修了条件を複数設定(視聴記録や理解度テスト合格など)し、本人が受講したかを証明できるか
- 現場適性:スマートフォンで、短い動画をすきま時間に受講できるか
- 対象範囲:常勤・非常勤・パートまで含めて漏れなく受講管理できるか
- 教材化:園独自のヒヤリハットや園舎の危険箇所を教材にできるか
5.よくある質問(FAQ)
Q.キャリアアップ研修はeラーニングで修了できますか?
近年は、オンライン受講に対応する実施団体が増えていますが、実施主体・受講方法・修了証の発行方法は都道府県や実施団体によって異なります。自園の職員が受講する研修がオンライン対応かどうかは、実施団体の要項で必ず確認してください。園側のeラーニングは、園内の義務研修の配信と、キャリアアップ研修を含む修了記録の一元管理に活用するのが基本です。
Q.義務研修の受講記録は、どのくらい残しておくべきですか?
指導監査で実施状況を確認するため、安全計画や各種義務研修の記録は、少なくとも、監査周期をカバーする期間は残しておくのが安全です。保存年限や様式は自治体によって扱いが異なる場合があるため、所管自治体の指導監査基準を確認したうえで、システムで自動的に記録が蓄積・出力できる状態にしておくことをおすすめします。
6.まとめ:eラーニングSaaSで研修を「止めない・記録が残る」体制へ
保育所・認定こども園の研修は、園が実施する義務・努力義務研修と、職員個人のキャリアアップ研修の二層です。2026年度(令和8年度)に処遇改善等加算Ⅱ(現・区分3)の修了要件が完全実施を迎え、受講記録が加算額と監査対応の両方を左右します。
大切なのは、研修をオンラインにすること自体ではありません。園の義務・努力義務研修を非常勤・パートまで漏れなく届け、本人が受講したことを担保し、園内研修とキャリアアップ研修の修了状況を一元化して、加算・監査に耐える形で残すことです。紙やExcelの属人管理では、職員の増減や年度をまたぐ管理に耐えられません。
SaaS型eラーニングと受講管理機能を組み合わせ、配信から記録までを一つの仕組みで回すことが、加算を確実に受け取り、監査に備える近道です。
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