eラーニングSaaSの教材動画をAIで作る方法 メリットと活用事例を解説

本記事では、SaaS型eラーニング動画教材の制作にAIを導入する理由と活用方法、メリットや注意点を整理し、導入事例と簡易導入フローまで紹介します。

教材動画の制作にAIを導入すれば、コストや工数を削減しながら高品質でパーソナライズされた動画教材を、外部委託なしに生成可能です。LMS(eラーニング学習管理システム)と連携すれば、運用や分析の効率化も見込めます。

eラーニング動画教材にAIを活用した改善例を示す4コマ漫画。居眠りするほど退屈だった教材が、AIエージェントpremoの踊りながらの数式解説によって、目が離せない魅力的なコンテンツに変わる。
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この記事でわかること

  • 台本・シナリオ生成から音声合成・AIアバター、映像編集、字幕、学習データ分析まで、AIで動画教材を作る5つの具体的な方法
  • AI活用・自社制作・外注の3つを、制作コストや工数、品質、速度、スケーラビリティ、多言語対応の面から比較したメリットと注意点
  • LMSと連携させる際のメリットと注意点(不正受講対策)、企業による導入事例とツール例、自社で進める簡易的な導入フロー

1.eラーニングSaaSの動画教材制作にAIが導入される背景

近年、企業研修へのSaaS型eラーニング導入が加速し、マイクロラーニングの需要が高まっています。動画教材を頻繁に用意する必要があり、企業には制作のスピードと量の両立が求められています。

こうした負担を軽減する手段が生成AIです。従来は外部の制作会社に依頼するしかなかった動画教材も、社内の担当者だけで台本作成や字幕生成、ナレーション作成ができるようになりました。内製化によりコスト削減と品質担保の両立が可能になり、導入検討を進める企業が増えています。

こうした流れの中で、👉「AIエージェントの導入でeラーニングはどう変わる?」で解説しているように、AIエージェントを活用した動画研修への注目も高まっています。

2.eラーニングSaaS動画教材における5つのAI活用方法

動画教材制作でAIを活用できる領域は多岐にわたります。ここでは代表的な5つの活用方法を紹介します。 

2-1.台本・シナリオの自動生成

ChatGPTなどのAIを使うと、学習内容のストーリーやシナリオを自動作成できます。会話形式のロールプレイや理解度に応じた問題出題など、学習者の履歴に基づくダイナミックな教材生成が可能です。くわしいデータ活用の仕組みは👉「LMS(eラーニング学習管理システム)のデータ活用」でも解説しています。

当社の学習支援AIエージェント「premo」でも、成績データをもとに問題文や選択肢を変える「アレンジ出題」機能を提供し、学習者ごとに異なる出題を実現しています。 

2-2.音声合成・AIアバターによる講師動画の作成

AI音声ツールにナレーション原稿を入力すると、自然な読み上げ音声を自動生成できます。AIアバターと組み合わせれば、CGの講師キャラクターが原稿を読み上げる講師動画も撮影なしで作成可能です。 

海外のSynthesiaは、100万人超のユーザーが240以上のAIアバターと160以上の言語で動画を制作できます(出典:Synthesia公式サイト)。国内向けのLeaddeは88言語・175の方言への翻訳と200種類以上のAIアバターに対応し、教育動画の多言語化に有効です(出典:Leadde公式サイト)。

2-3.映像の自動生成・編集

AIを使えば、素材のカット編集やテロップ挿入、背景合成を自動化でき、専門スキルなしでも短時間で仕上げられます。動画・クイズ・シナリオ構成をAIが自動設計するツールも登場しており、制作スピードとスケーラビリティに有利です。

2-4.動画の字幕・要約の自動追加

AIの音声認識で自動字幕を付与したり、長尺動画を要約して短縮したりできます。理解度テストの自動生成も進んでいます。

2-5.学習データの分析と個別最適化

AIを使えば、学習者の進捗データや理解度に応じて、最適教材や学習経路を提案できます。学習支援AIエージェント「premo」では、受講結果画面で難易度や正答率分布を示し、IRTモデルを用いた成績分析から一人ひとりに合わせた復習提案を行っており、👉「AIエージェントによる学習の個別最適化」で紹介している、コンテンツ提示の一例といえます。

生徒一人ひとりに寄り添うAIエージェント「premo」の機能は、下記でご紹介しています。

3.AI活用のメリットと自社制作・外注との比較

AIを使えば台本作成から音声・映像制作までを社内で完結できます。ここではAI活用のメリットを自社制作・外注と比較します。

eラーニングSaaS市場全体のAI活用の動向については、👉「eラーニングSaaS最新トレンド」でもまとめているので参考にしてください。

項目AI活用自社制作外注
制作コストAIツール利用料が主。撮影・人件費が不要撮影機材費と人件費がかかる発注費用がかかる(本数・尺で変動)
工数・人件費台本・音声・編集を自動化し、作業負担が少ない撮影〜編集まで社内で対応が必要委託できるが要件調整や修正対応の工数がかかる
品質属人性を排除し均質(専門家レビューは必要)担当者のスキルに品質が左右されやすいプロ品質だが修正に時間がかかる
制作速度数日〜数時間で完成するケースもある企画から完成まで数週間〜数か月かかる発注から納品まで数週間かかる
スケーラビリティ数百〜数千本でも短時間で対応可能大量生産には人員・時間の制約がある追加発注のたびにコストが増える
アクセシビリティ・多言語対応AI翻訳・自動字幕で多言語化が容易翻訳・字幕を別途作成が必要翻訳会社への追加発注が必要

表の通り、AIを活用すると制作コスト・速度・スケーラビリティで優位性が大きく、多言語対応も容易です。ただし、専門性の高い教材や大量制作では、AIツールを使いこなすノウハウそのものが求められるため、外注する場合もAI活用の体制を持つ制作会社を選べば、外注のメリット(専門性・品質担保)とAI活用のメリット(コスト・速度)を両立できます。

多言語対応も、AI活用が強みを発揮する領域の一つです。前述のLeaddeのように1つの動画を88言語へローカライズでき、受講者に合った言語で配信可能です。特に、外国人材を受け入れる現場では多言語対応の需要が高く、👉「外国人スタッフ教育におけるeラーニングSaaS導入」でも、AI動画による多言語教材のニーズが紹介されています。

自社に合ったAI活用の進め方は、企業ごとに異なります。当社manabi+ schoolでは、貴社の状況に合わせた無料相談を承っています。

4.AIで作ったeラーニング動画教材をLMSと連携させるメリットと注意点

eラーニングSaaSのAI動画教材について、視聴するだけの従来型LMSとAI連携LMSの違いを、オフィスで社員が概念図を指しながら説明する様子。左側は配信のみの受動型、右側はAIが受講状況を能動的に把握する仕組みを表す。

AIを使えば動画教材は効率よく制作できますが、配信・受講管理の仕組みがないと十分に活用できません。そこで重要になるのがLMS(学習管理システム)連携です。メリットと運用時の注意点を解説します。

4-1.LMSを連携させるメリット

AI動画を既存LMSに組みこむと、教材配信と受講管理を一元化できます。Synthesia公式サイトでも、AI動画をLMSと連携させ常に最新の状態に保てる点が紹介されています(出典:Synthesia公式サイト)。教材の更新・配信作業が効率化し、進捗管理や学習分析も容易になります。

さらに、LMSには再生速度調整機能なども搭載可能です。スキマ時間を活用したい受講者からは動画を倍速で視聴したいという要望も多く、👉「動画の倍速再生は可能?」で解説しているように、再生速度を調整できるLMS(学習管理システム)が増えています。研究でも、提示速度の違いは理解度テストの結果に影響を与えず、1.5倍速が最も支持されるとされており(出典:長濱澄・森田裕介「映像コンテンツの高速提示による学習効果の分析」日本教育工学会論文誌40巻4号, 2017)、倍速視聴はスキマ時間での効率的な学習につながります。

4-2.LMSを連携させるときの注意点

一方で、LMSを「受講したら修了」で設計すると、不正受講を誘発しやすいと考えられています。 詳細は👉「eラーニングが受講しただけで終わる原因」で解説しています。

実際、eラーニング担当者の55.3%が不正受講を懸念しており、想定される不正受講のうち「席を外して動画を流しっぱなしにする」が69.1%で最も多いという調査結果もあります(出典:株式会社イー・コミュニケーションズ調査, 2024年7月)。

こうした「eラーニングを流しっぱなしにしてたら受講修了」が懸念される状態は、悪意がなく見逃されやすいため、AI動画教材では小テストや本人認証などと組み合わせた設計で、学習完了を判定するのがおすすめです。不正受講・不適切受講の事例や業界別の対応策については、👉「eラーニングSaaSの不正受講・不適切受講の事例と防止策」でも詳しく整理しています。

5.生成AIで動画教材を作った事例とeラーニングSaaSへの導入フロー

SaaS型eラーニングの動画教材にAIを導入した実例とツールを紹介し、自社導入時の流れも解説します。

5-1.事例

2008年創業のエレファンキューブは、eラーニング教材制作で2,000件超の実績を持ちます。動画制作では字幕挿入やAIアバターを使った動画制作など、AIツールを活用し効率的に教材動画を制作しています(出典:エレファンキューブ公式サイト「生成AIの活用」)。2026年5月には、エレファンキューブとクオーク株式会社が提携し、AIで研修資料から動画を制作する「Qualif Content Lab」の提供を開始しました。研修資料を送るだけで構成・原稿作成が完了し、プロのクリエーターが手がけるため、AIのスピードと人の品質担保を両立させた点が特徴です(出典:クオーク株式会社プレスリリース)。 

5-2.動画教材制作で使える生成AIツール

2-2で述べたとおり、Synthesiaは、AIアバターと音声で専門知識不要の動画制作が可能で、100万人超のユーザーが最大240のAIアバター・160以上の言語で動画を制作しています(出典:Synthesia公式サイト)。またLeaddeはAIがPPTやマニュアルを解析し自動でナレーション原稿を生成、講義ビデオを作成するツールで、200種類以上のAIアバターと88言語・175の方言への翻訳で教育動画を配信できます(出典:Leadde公式サイト)。 

5-3.導入フロー

実際に自社で導入する際は、通常以下の流れで進めます。

  1. 研修テーマと要件を定義
  2. 既存の教材(スライドやマニュアル)を整理
  3. AIで脚本・音声を自動生成
  4. 動画編集・品質チェック
  5. LMSへ登録・配信
  6. 効果測定と教材改善

自社に合うLMSの選び方は👉「SaaS型eラーニング システムの選び方」で解説しています。

6.まとめ

SaaS型eラーニングの動画教材制作にAIを導入すれば、台本作成から音声・映像制作、字幕、学習データ分析まで一連の工程を効率化でき、コストや工数を抑えながら質の高い教材を内製できます。自社制作・外注と比較してもコスト・速度・スケーラビリティで優位性があり、LMSと連携すれば配信・受講管理も一元化が可能です。

一方で、AI生成コンテンツの品質チェックなど運用面での配慮も欠かせません。まずは小規模な動画コンテンツでAIツールを試し、成果を検証しながら段階的に導入を広げることをおすすめします。

当社の学習支援AIエージェント「premo」は、動画教材の質問・復習・学習支援を前提に設計された教育AIエージェントです。今後、先生や運営に寄り添う、動画教材の制作などを行う「assistant」「operator」をリリース予定ですので、是非そちらにもご期待ください。